自動測定プログラムの開発事例

これまで私は、携帯電話の開発現場にて、無線部分の性能を確認する自動測定プログラムを開発していました。
これはPCから測定機器を制御するものなので組み込みプログラムとは違いますが、開発現場での基板設計に関るものなので、ここでご紹介します。

私達の仕事の第一は、お客様の「ご要望」をコンピューターに判る様に訳す事だと考えています。

その為にはまず、私達はお客様の「ご要望」を理解しなければなりませんので、ヒアリングをしっかりと行い、要件定義に力を入れていきます。 私の基本的な仕事の取り組み精神ですが、現場で実際に使用するユーザー様の要望を取入れたプログラム開発を心掛けています。

―自動測定プログラムとは―

●説明―このプログラムは、携帯電話の開発工程において現在の基板が、どの程度電波を受信できているかを確認し、その結果から基板を修正し、再度確認するという工程の確認測定を自動化し、工数を減らす事を目的としたものです。 また、副次的な目的として確認方法を画一化する事で測定方法の基準を統一する事も含まれています。

●開発事例①―この自動測定プログラムは前任者から引継ぎ、これまで何度もバージョンアップを重ねています。
最近行なった事例としましては、「測定時間の短縮」 があります。 これまでは20時間程掛かっていた測定を14時間程度までに短縮しました。
これにより、退社時に測定を仕掛けて帰れば、朝一の会議が終わる頃までには測定が終わっている様になりました。

この 「測定時間の短縮」 の対象となった確認測定は、基板の電波の受信効率を確認しながら、電波の強弱を調整して、通話ができなくなる時の電波の強さを記録するものです。

この測定の具体的な改修は、受信効率が一定の範囲になるまで追い込む測定です。
ログ調査から入り、実際の測定で改修内容を確認し、受信効率の範囲の前後を何度も重複して測定していた部分の効率化を図りました。
測定時の最新のログはユーザーからも見える作りなっている為、私もユーザー視点に立って見ると・・・「 そこだろ、そこ、何時までウロウロするんだ 」・・・とイライラしてしまったので、この部分を効率化して無駄を省けた時には、大変すっきりしました。
ユーザーの視点から物を見る大切さが、より実感されました。

●開発事例②―また、この「測定時間の短縮」を行なう時には、電波の受信効率の損失が、必ずゼロの状態から追い込んでいかなくては正常な測定を行なえない事が判明しました。
そこで、ユーザー様からの設定に関らず、受信効率の損失がゼロの状態から追い込む様にする処理を提案した結果、了承されましたので追加しました。

今後も、お客様にとって、また私にとっても、より「納得」のいくプログラムを開発して行きたいと思います。